1305年 於・ノースゲート


時は1305年。
巨虫のメガリスの探索を終えてからしばらく経ったが、
ここでジニーことヴァージニア・ナイツは、ある事に気がつく。
―――そもそも彼女は、祖父を追って船に乗り込んだことについてだ。

ジニー「ママ、心配してるだろうな…。
 いや、もしかしたら新しい家族とか作って幸せな家庭を作ってたりして…。
 そうだよね、私もパパもいないんだもんね、いるったっておじいちゃんだけ…。
 きっとそうだ、きっと今ごろ渋くて素敵なナイスミドルと一緒に…。
ウィル「ヴァージニア!
ジニー「ハッ、おじいちゃん!!あーん、会いたかったよー
ウィル「ジニー、ママに勝手に新しい家庭を作らせて。悪い子だ。
ジニー「どきっ、じゃなくっておじいちゃん、パパが、パパがーー
ウィル「貧乏ナイツことリチャードがどうしたんだ?ジニー、泣いてないで話しておくれ。

ウィル「そうか、そんな事があったのか。
ジニー「おじいちゃん、悲しくないの?
ウィル「そりゃ悲しいさ。だがなジニー、私はホッとした気持ちの方が光って唸るんだ。
 ディアナからリチャードが美人を追って行ったと聞いていたから、
 あいつが戻ってこなかった時、もしかするとあいつはまた浮気を…
ジニー「おじいちゃん、浮気ってどういうこと?
ウィル「話せば長いんだが……

ジニー「……………………話が長くてこんがらがっちゃったけど、
 おじいちゃんもパパもそのエッグを追っていたのね。
ウィル「そうだ。私はその件でテルムに行かねばならん。
 お前のおかげで、飛んで飛んで飛んで飛んで、回って回って回ってまわ〜るうぅぅう〜。
 といった具合にとんだ回り道だ。
ジニー「ごめんなさい、ごめんなさい。でもどうしても旅に出たかったの。
ウィル「ママの気持ちも考えてあげなさい。本当に新しい家庭を築いたらどうするんだ。
 お前に何かあったら、ママは本当に新しい婿さんをもらってしまうぞ。
ジニー「うん、わかる。だって、女の子だもん。
ウィル「お前もナイツの血と言うことか。おじいちゃんはテルムへ戻る。
 お前も一緒に来なさい。一人にしておくよりはいいだろう。
ジニー「ヤッター!!
ロベルト「あのー、おじい様、私も同行させていただけませんか?
ウィル「君は誰だね?うちの孫はやらないぞ。
ジニー「みんな、いつの間に狙ってたの?
 この人はロベルトさん。こっちがグスタフさん、それからプルミエールさん。
 いろいろと面倒見たり見てもらったの。
プルミエール「見てもらってない、もらってない。
ウィル「そうですか。孫が大変お世話になりました。
ロベルト「いえ、なんてことはないですよ。おいグスタフ、お前も行くだろう?
グスタフ「テルムか……
ロベルト「プルミエールは?
プルミエール「テルムね……
ロベルト「二人ともなんだよ、珍しくはっきりしないじゃないか。
 服装は明らかに色々とハッキリしてるのに。
ジニー「ここでお別れなの?グッフー?プルミ?
ウィル「さあ行こうか、ジニー。
ロベルト「行こうぜ、グスタフ。
グスタフ「わかった。
ロベルト「あんたはどうする、プルミエールさんよ?
プルミエール「一人で残っても仕方ないわね。
 御一緒させていただきますわ、御老人。
ウィル「うんうん、仲間は多い方がいい。行こう、私達の輝ける未来へ!
ジニー「えいえいおー!


テルム―――メルシュマン地方の中心地
ヴァン「お久しぶりです、タイフーン・ウィル。
ウィル「台風?…こちらこそ、バンさん。で、ご用件というのは?
ヴァン「ヴァンです。下唇噛んで、ヴァンです。さて本題ですが…。
 ウィルさんもご存知だとは思いますが、ギュスターヴ公亡き後、公の愛と勇気と血を引くと名乗る者が数多く現れました。
 もちろん、すべて偽者です。
 反乱貴族から盗賊や野盗の類、刀鍛冶の職人、果ては農家の三男坊などまでが公の名前を利用しています。嘆かわしいことです。
 最近も一人の男がギュスターヴの名を名乗り日光を集め草丈を伸ばしています。
 この男、奇妙な噂が多く、それも人々を引き付ける一因になっています。
 その一つが、金髪なのに抜け毛はなぜかいつも銀。
 ハン・ノヴァ近郊の古戦場を深夜徘徊。
 そして、卵型クヴェルの話です。
ウィル「卵型クヴェル!!まさか……エッグ……
ヴァン「それをあなたに確かめて頂きたいのです、タイクーン・ウィル。
 以前伺ったエッグのお話通りとすれば、この男だけは必ず倒さねばなりません。
ウィル「エッグが古戦場を深夜徘徊……。可能性はある。
 人間の力とは見た目ではないと気がついたか……
 とにかく、その偽ギュスターヴにお近付きにならねば。今どこに?
ヴァン「ハン・ノヴァに。
ウィル「分かりました。すぐにハン・ノヴァへ向かいましょう。
ヴァン「もう一つお願いがあります。
 ハン・ノヴァに行くなら、歓楽街の帝王に一声かけて欲しいのです。
 あとそれから、この娘をご一緒させて頂けませんか?
赤ずきん「ヴァンアーブル先生の下で修行をしております、ミーティアと申します。
 よろしくお願いします。
ウィル「かなり危険ですが、よろしいのですか?
ヴァン「ええ。修行ですから。
ミーティア「えっ!初耳ですよ、先生。
 先生、確かに昨日は『ちょっとしたおつかい』って仰って―――
ヴァン「修行ですから。
ミーティア「…覚悟します。
ウィル「では、さっそく出発しましょう。



おわり。


初めてのナイツ編、ですね。
ナイツ編は会話オンリーイベントがこれくらいしかなかった気がするので、他は書きにくいだろうなぁ。
できればちゃんと「ウィルの旅立ち」から、順番を追って書きたかったのですが、いや、難しいんですもの。
 で。ジニーがなんだか想像力たくましい、普通のヒロインっぽい感じですね。
今までのサガのメインキャラにはあまりいなかったタイプではないでしょうか。
あ、でもロマミンのアイシャって実はこんなだったりするのかな。ミンソンしたいようずうず。
初プレイの時には「エッグ再び」から突然「巨虫のメガリス」をやって、そして「エッグを追って」に飛んでしまったので、
会話がよくわからなかったなぁ…という思い出。懐かしいなぁ。

書いた奴:そろそろギャグメインって言っても差し支えないよな、と呟いた清風