ギュスターヴ13世が織田信長なら、偽ギュスターヴはナポレオンですね、と思った記憶がある。



おそらく「大権力の崩壊、その後の混乱期に突如現れた英雄」「共和政に現れた独裁者」というイメージからですね。
(ナポレオンは突然現れたのではなくて、ちゃんとフランス軍に士官していましたが)
(あと、偽ギュスターヴが行政にかかわっていたかどうかもよく分かりませんが)

ということで、ちょっとあれこれ比較してみました。
……ものの、近代フランス史ってそんなによく分かっていないので、ちょこちょこ違うかもしれません。


●共和制に現れた「英雄」
長いこと続いていた王政が革命によって崩壊し、その後も10年ほど混乱が続いていたフランス。

ギュスターヴ13世の急逝後放棄され、しばらくは元老院によって動いていたハン・ノヴァ。

対外戦争で勝利をおさめたのちにクーデターによって政府を倒し事実上の独裁制を敷き、
フランス元老院からフランス皇帝に戴冠されたナポレオン。

どこから湧いて出たのかは分からないが、ヤーデに対する反乱で勝利したのち、
ハン・ノヴァ城へ入城した偽ギュスターヴ。

そして敗戦を機に(ナポレオンは積もり積もってですが)、
その短命な政権(偽ギュスターヴが行政にかかわっていたかどうか不明ですが)が終わるという。

うーん、なんとなく大筋が似ているような、似ていないような。


●部下のこと
ナポレオン麾下で元帥となった者たちの出身は下層階級が多く、実力主義により人材を登用していったそうです。
(フランス革命戦争:「革命後のフランス」対「反革命のヨーロッパ列強」で名を挙げた人々が中心)
一方偽ギュスターヴの腹心の部下「エーデルリッター」は名前しか分からないので断言はできないものの、
実力主義(それもおそらく個人の戦闘能力、アニマの質)で選んだと見ていいでしょう。
少なくともサルゴンは平民の出身だ(断言はされていないものの、そうだと思う)し。
……そもそもぽっと出の偽ギュスターヴだと、地位>実力の人材を集めるのは至難の業かもしれません。


●服装(特にダヴィドの「サンベルナール越えのボナパルト」や皇帝時代の肖像:近衛連隊長の制服の)
あのピッタリとしたズボンが、似ている。
それだけ。


●ついでに
ナポレオンはエルバ島に流刑になった後、「百日天下」と呼ばれる返り咲きを果たしたわけですが、
偽ギュスターヴがそのまま姿を消したのは、デーヴィドの事後処理がよかったのか、「エッグは同じ手を使わないから」なのか。
どちらにせよ偽ギュスターヴは復権できないだろうなあと思いつつ、せっかくだからそんな展開も見たかったなあ。


……なんてことを、大河ドラマの「本能寺の変」回を見て思ったのでありました。


参考:Wikipedia「ナポレオン・ボナパルト」
帝国書院『最新世界史図説 タペストリー 三訂版』2004年