●とある日の雑務
○言語の話
・最初に出てきた「グラエキア」はギリシャ、「アシア」はローマ史では小アジア、つまりトルコのことです。ローマアピールによってラテン語読みしました。
……とこのように、地名が割とラテン語読みギリシャ語読み、果ては現代語まで出てきそうなので、ここで解説を挟んでいきます。
・「コンスタンティノポリス」は現トルコのイスタンブールです。アジアとヨーロッパの境目。
・「西はヒスパニアから東は絹の国まで」今でいうスペインから中国にあたります。
五賢帝の時代にローマの使節が中国に来たらしいので、まあ一人くらいいてもいいだろう……とこじつけますぞー。
・「アテナイ」はアテネのことです。ここは古典ギリシャ語でいってみました。
・「鷲座(アエートス)」「琴座(リュラー)」「小犬座(キュオーン・ミクロス)」星座名は古典ギリシャ語読みが好きです。
○古代ローマの話
・「剣闘試合が行われる……」コロシアム(コロッセオ)で開かれる悪名高き殺戮ショーですね。
……が、なんと326年(この話の50年ほど前になります)に時の皇帝によって、剣闘士試合を禁止する勅令が出ているようです。
とは言え禁止したからと言ってすぐにスパッと消えるわけでもないだろう、という屁理屈によって、
平然と最大の闘技場で剣闘士試合を開かせる運びとなりました、というか書いている時には知らなかったんだよ……! 学習不足ですみません!
・「娼館」とかフツーに出てきましたすみません! でもあるんだからしょうがない。
昔は現代と比べると非常に性に関してオープンだったので、こういう表現は今後ポンポン出るかもです。
・「都の皆様にはミネルウァとお呼びした方が馴染みが深いかな」
ローマ神話の知恵と技術の女神ミネルウァは、ギリシャ神話のアテナと同一視されていきました。
・「ただ一つの神を信じること、それ以外は許されない―――そんな気風が帝国の東側で現れ出して久しい」
アタナシウス派(三位一体説)のキリスト教以外は異端とし、弾圧を許す「テッサロニキ勅令」が380年に発布されました。
これによりギリシャ、ローマの多神教、キリスト教の単性論、ユダヤ教などはどんどん肩身が狭くなっていきます。
・「奴隷」も頻繁に出てきます。そういう社会です。愛と平等をかかげるキリスト教徒だって奴隷を所有しています。そういう社会です。
ただ、奴隷も給金を貯めて貯めて、自由を買う=奴隷身分からの脱出、ということもできなくはないのです。
・「僕、まだ十三ですから、そういうのはまだ早いってわかってるし」古代ローマでの成人年齢は、だいたい15歳前後だそうです。
要はアテナの身のまわりを守る少年達と言っても、成人が大半を占めているんですが、こまけえことはええ〜い面倒!
・「後ろに控えていた長身の従者を手招きして」もちろん聖域だって奴隷を多く抱えています。
奴隷と従者の文中での使い分けは、割と気分によります(不親切)。個人に仕えているというイメージの場合は「従者」表記かなー。
・「怪しい新興宗教がよく言うじゃない、信じる者は救われるって」つまるところキリスト教なんですが!
新興宗教と言っても成立してから三百年は経過しているはずですが、古代ギリシャ神話の歴史から考えると十分に新興宗教です(なげやり)。
○聖闘士の話
・「聖域内にある小高い丘の一つに、その上司は広い邸宅を持っている―――と言うよりは、聖域から借りている」
この上司アクラエースの正体は(話の流れ的には)すぐに出るのですが、地位の高い人間は一戸建てを支給されています。
フォルティス達白銀聖闘士の大半は寄宿舎暮らしです。
ということで古代ローマ聖闘士、導入編でした。
ト書きで書いたものを小説に書き直すのに1か月……! 小説を書くのが久しぶりすぎて、国語辞典が手放せません。
とりあえず「古代ローマ的な雰囲気」を出そうと、最初の話はローマからスタート。
お仕事に忠実な白銀聖闘士らしさを出そうと、お使いイベントとなりました。
ローマ市や居酒屋、闘技場の描写は、まあ雰囲気がもやーんと伝わればそれでいいや(投げやり)
この辺りについては、アルベルト・アンジェラ著の「古代ローマの○○」シリーズを参考にしています。
しかしバトルが一切ない話って、聖闘士星矢の二次創作としてありなんでしょうか……というわけで、
次回辺りからもう少し聖闘士らしい用語解説が入りますって、あれー?
こんなノリですが、できるだけ細く長く続けていきたいシリーズです。
今後もお付き合いいただけると幸いです。
では、ここまでお読みくださりありがとうございました!
(2015.1.4 ……って日付を書いておくと、自分へのプレッシャーになる、気がします)